(主に英語)論文を書くために使っているツール,ウェブサイトを紹介.
☆は使用頻度.
表現・語彙検索ツール系 †
AntConc (Linux/Win/Mac) ☆☆☆ †
コンコーダンスソフト.論文のテキスト(PDF などをテキスト形式で保存)を何本もデータベースとして読ませておいて,単語,熟語などを検索する.Google Desktop(下)と似ているが,AntConc の方が検索方法を細かく指定できる.例えば,正規表現で検索したり,「単語Xと単語Yの距離がZ語以内である文」の検索など.難点は,PDF をテキストに変換して読み込ませないとダメ(もちろんデータベースの保存は可能)な点と,慣れるまでちょっと使いにくい点.
Google Desktop (Linux/Win/Mac) ☆ †
パソコンに保存されているドキュメント類(論文など)の検索.AntConc と違って,自動的にPDFなども(テキストとして)登録してくれる点は便利.誰でも簡単に使える.検索の方法を細かく指定できないのが残念.
コマンドライン辞書 (Linux/Win/Mac) ☆☆☆ †
英辞郎をコマンドラインから検索できるようにしたスクリプト.日本語,熟語もOK.すごい便利.
Merriam-Webster Online ☆☆ †
英英辞書とシソーラス辞書.http://m-w.com/ でもアクセスできる.似てる意味の単語,反対の意味の単語を検索したりする.
Thesaurus.com ☆ †
シソーラス辞書.類義語,反義語検索.
Yahoo!辞書 ☆ †
goo辞書 ☆ †
翻訳ツール系 †
自分で書いた英文を機械に翻訳させて,へんな意味の文になってないかチェック.日本語を翻訳して英語論文に使えるほど性能はよくないので,あくまでチェック.
Yahoo!翻訳 ☆☆ †
これが一番マシな気がする.
excite翻訳 ☆ †
Yahoo!翻訳と同じぐらい.
Google翻訳 ☆ †
上のふたつに比べると,かなり劣る.でも,リアルタイム翻訳(テキストボックスに入力すると,直ちに翻訳が始まる)は楽しい.翻訳の質が改善されれば,メインに使いたい.
図ツール系 †
Inkscape (Linux/Win/Mac) ☆☆☆ †
ベクタ系の図を描くときに.
なども参照.
ラスタ(ビットマップ)の画像を取り込むこともできる.写真などの上に説明を加える場合は,下の GIMP ではなく Inkscape の方が(文字や線が)きれい. また,ラスタ画像をトレースすることもできる.ポスターのように拡大する場合,トレースしてベクタにしておいた方がきれいに印刷できる.
GIMP (Linux/Win/Mac) ☆ †
ラスタ画像の処理.写真などを論文に載せる場合,コントラストなどの調整に.
Gnuplot (Linux/Win/Mac) ☆☆☆ †
グラフを描くときに.
なども参照.
私の経験上,
- グラフを描くスクリプト(bashなど): グラフを描画,SVG に出力
- SVG(上のスクリプトで生成): Inkscape などで編集後,EPS として出力
- EPS: 論文で引用する
の3つのファイルは,論文のマテリアルとして保存しておくべき.
エディタ †
私は LaTeX を使うので,編集は普通のテキストエディタを使っている.統合環境よりも軽いし,LaTeX のコンパイルを自動化するスクリプトを使えばコンパイルも簡単.
Kate/KWrite (Linux) ☆☆☆ †
KDE のテキストエディタ.GNOME などほかのデスクトップ環境でも使える.一応 Windows,Mac でも使える*1.単語補完,スペルチェックなどが可能.プログラムもこのエディタを使って書くので,Kate/KWrite を使わない日はない. ちなみに KWrite は Kate のシンプル版.Kate は複数のファイルを開いたりウィンドウを分割したりできる.
テンプレート †
論文を書くときのテンプレート.授業で習ったりしたものがベース.
概要 (abstract) テンプレート ☆☆ †
- background
- purpose and meaning
- content, features, devices, etc.
- results, obtained knowledge
background はくどくど書かない.
序論 (introduction) テンプレート ☆☆☆ †
- background: ○○を研究する意義
- literature review: その分野での代表的な手法/理論(とそれらの問題点)
- aim, meaning, scope: 本論文で何を提案するのか,その意味/意義は?(それができると,何が嬉しいのか)
- what I (we) did: 具体的に何をしたのか(aimを実現するためにやったこと)
- related works: 関連研究との比較
- result/conclusion: 実験で得た結果,及びそこから得られる知見
- (application): 提案手法を使ってどんなことができるようになるか (optional)
- preview: 2章では○○を述べ,…
会議の議事録なら,一部を省いたりする.順番を入れ換えたりすることも.太字の部分が一番重要.
章 (section) テンプレート ☆ †
- guidance: その章で何を述べるか(概要)
- detail: 詳細,具体的な内容を記述したパラグラフ
- (summary): まとめ,結論 (optional)
段落 (paragraph) テンプレート ☆☆ †
- thesis (main idea): その段落で言いたいことを1文程度で(1文にこだわる必要はない)
- supporting: thesis の根拠などを数文で(読者に理解させるための説明)
- (summary/connecting): まとめ or 次のパラグラフに続けるためのつなぎ文 (optional)
ちなみに七つ道具と言ってるのは,一番よく使う ☆☆☆ と LaTeX を合わせたら七つ,ということだよ!(無理矢理)